ゼミが終わって研究室でだらだらしていると、後輩にこの後時間ありますか、と聞かれる。あまり寝られておらず帰って寝たい、、と曖昧な返事をしてしまう。もともと後輩たちはご飯に行く予定だったのだけれど、一人体調不良で欠席になってしまったらしく、先輩どうですか?ということだった。せっかくだからと行くことにした。
最近出来たらしいイタリアンが中心の店。店名のロゴは英語で、サンセリフ体の上下がシュッと躍動しており、どっしりしていて欲しいなと少し不安になった。まずは飲み物を、とメニューを開くと軽めの白ワイン、まろやかめの白ワインなどという表記で、なるほどそういう感じね、と穿った見方をしてしまう。
いかんいかんと食べ物の方を見てみると、店のコンセプトが前菜の下に書かれている。「イメージは東京カレンダー」とのこと。たしかにそう言われると、カウンターのライティングがそれっぽい。いかにもノースリーブの黒いワンピースを着た誰かしかが座っていそうである。東京カレンダーに載っているような店に行きたい人が来たとして、「イメージは東京カレンダー」という文字列を読んで嬉しいのだろうか、と店の戦略を心配しながら、まろやかめの白ワインを飲み、生パスタを食べた。
後輩たちと別れ、デザートにチーズケーキでも食べて帰るかとスタバに寄ってみると、閉店まで30分以上あるのに片付けが始まっており、終わりましたと告げられる。ちぇっと思いながら、家の近くのケーキ屋へ。繁華街なので、夜のお店へのお土産用にだと思うが、遅くまで開いているのだ。店内でも食べられますよと言われる。白い壁の明るい店内でたばこを吸いながら40代ぐらいの男女二人組が仲よさそうにケーキを食べていた。まぶしさと煙たさで感情が変になりそうだと、ご一緒は遠慮することにした。そんな誕生日だった。