2025年12月19日
調査としては最後の日。
レストランや食堂の壁によく家族写真が貼られている。貼られているどころか、店長と思しき方の結婚式のかなりの大きさ(ある時は肖像画かなというぐらいの)の写真が額装されて飾られていることも少なくない。あるいはレジャーシートに似た素材の大きなシートに家族旅行の写真が印刷されていることもあった。町にはいくつか印刷屋があって、そういったことに対応しているんだろう。日本ではなかなか見かけない文化なので面白いなと思いながら毎回眺めている。

午前中の調査では半屋外の部屋?に通された。壁と窓はないが柱と屋根はある。簡易的なベッドと長机が置かれていて、農作業の合間にここで休憩したり、みんなでご飯を食べたりするんだろう。近所の人が世間話をしにきた時も(私たちのように)ここで過ごすんだろう。そういえばインタビューに伺う際にノックをしたことがない。だいたい昼間はこういう場所で過ごしているから、すぐに声をかけることができるのだ。なんというか村と家をこの場所が繋いでいるような気がする。日本の縁側って似たところがあったりするのだろうか。
さておきこの部屋?の壁にも縦長のビニールシートが貼られていた。話を伺った女性の写真と彼女が自身の農業について語った文章(ところどころスペルが間違っている)が印刷されている。おそらく国際支援機関か役所の職員が話を聞いて書き起こしまとめたものなのだろう。そのビニールシートの下には不発弾がいくつか飾られていた。基本的には後輩がインタビューを行って、最後に私がいくつか質問する。とはいえ、大抵のことは後輩が聞いているので、私はgeneral(と後輩に伝える際に前置きする)な質問をすることが多い。部屋や庭に置かれたものがその手がかりになることも多く、今回はまずこの不発弾はどこからもってきたんですか?と聞いてもらった。祖父母の家から持ってきたとのこと。鶏の餌入れ(クラスター爆弾の外殻は縦長くちょうどいいんだろう)に使われていたが、盗まれる可能性があるので持ってきたとのこと。


この地域はベトナム戦争の際にアメリカからの爆撃(当時は明かされておらず秘密戦争と呼ばれている)を受けており、今なお多くの不発弾が埋まっている。こうした不発弾はレストランの飾りとして使われることが多々あって、それを見かけるたびになんとも言えない心情になる。どうして飾ってるんですか?と何度か聞いたことがある。質問自体が不思議がられるような感じがあって、毎回、どういう風に聞くのがいいのか戸惑っている。多い回答が、忘れないため、だ。悲劇を?と考えるのだが、今日話を聞いた方は、悲しいという気持ちはないんだ、と言っていた。今年の初めに訪れた別の地域のカフェにはクラスター爆弾が飾られていて、そこにはアメリカのカートゥーンのキャラクターが描かれていた。忘れないため、だけではないんだと思う。どういうことなんだろう。

